体質に合う治療で妊娠力を高める「漢方治療」

漢方薬を使って「血」のめぐりや内臓機能を高めます

漢方療法では東洋医学の考えに基づいて、1人1人の体質に合わせて漢方薬を処方します。「気」「血」「水」のアンバランスを調整し、カラダ全体の機能をアップさせ妊娠力を高める治療法です。妊娠の妨げとなる体の冷えやいわゆる「淤血=(血行不良)」などを改善し、妊娠しやすい体を作ります。

漢方治療

体全体のバランスを整え妊娠力を高めてくれる治療法です

東洋医学では、ヒトの体は「気」「血」「水」がスムーズに流れていることが健康のポイントであると考えます。妊娠しやすい体質とは健康そのものであることが条件ですから、不妊治療においても「気」「血」「水」の流れを整えていく治療が基本となります。
とくに女性の場合は、下腹部の臓器(子宮や卵巣なども含む)に「淤血」が溜まり易いため、血液の流れが滞り、その結果として下半身の冷えや内臓機能の低下を招き妊娠の妨げとなりやすいのです。
またストレスは「気」のめぐりを停滞させてしまい、不妊の原因になります。なるべくストレスを溜めこまないような生活も大切です。

こんなケースの不妊に適している・冷え性や血行不良による不妊
・機能性不妊二人目不妊
・妊娠・出産に備えて体質改善したい
・体に負担が大きい治療はできるだけ避けたい
平均治療費用約2~3万円
※症状やクリニックによって費用が違います。

漢方治療の流れ

ご来店

適切な漢方薬を選ぶためには、患者さんの症状や体質だけではなく、日頃の生活習慣等も確認する必要があります。普段飲んでいる薬やサプリメントもあれば、その具体的な情報も持参して来店しましょう。

カウンセリング

漢方の考え方においては、たとえ同じ症状を患う患者さんだったとしても、体質や生活環境等の違いによって処方すべき内容が異なります。患者さん一人ひとりに合わせた最適な漢方薬を選択すべく、カウンセリングに1時間以上を要することもあります。なお漢方薬の処方プロセスにおいては、カウンセリングは非常に重要な位置づけとなります。患者さんの生活環境等を十分に把握する必要があるため、カウンセリングを完全予約制にしている薬局もあります。

調剤

カウンセリングの内容に基づき、患者さんそれぞれに合わせた漢方薬を調合します。調合作業は10分程度で終了することもあれば、数日を要することもあります。既製品の漢方で対応可能と判断した場合には、すぐに処方をすることができます。

お薬のお渡し

調剤が終了したら、薬の受け渡しを行ないます。服用方法を始め、服用する際の注意点、また以後の生活上の注意点なども細かく説明するので、漏らさず薬剤師の説明を理解し、かならず実践するようにしてください。

アフターフォロー

薬の服用を続けている間、分からないこと、困ったこと、疑問、不安等が生じた場合、薬局は随時アフターフォローを行ないます。来店、電話、メール等を通じて、随時気軽に薬剤師に相談しましょう。

漢方治療の効果

冷え性の改善

「秋ナスは、嫁に食べさせるな!」というコトワザがありますが、昔からナスには体を冷やす作用あることが知られています。漢方薬の中には、妊娠を妨げる原因の一つである「冷え」を取り除く処方がたくさんあり、お腹を温めて子宮や卵巣などの臓器の機能を高めてくれます。

血のめぐりをよくする

東洋医学では、子宮や卵巣などの下腹部の臓器に、いわゆる「淤血」が溜まり易いと考えられています。「淤血」とは、簡単には血液のめぐりが悪いという意味です。漢方薬には、「気」「血」のめぐりを良くして、妊娠しやすい体を作る処方がたくさんあります。

不妊治療の漢方薬

当帰芍薬散
漢方の代名詞とも言える薬が当帰芍薬散。冷えやむくみ、そして生理不順などの症状の改善に効果的とされる薬です。生理不順が起こる原因の一つは、女性ホルモンのバランスの乱れ。当帰芍薬散には女性ホルモンのバランスを整える働きがあることから、生理周期を整える効果があります。女性ホルモンの分泌が正常化し、かつ生理不順が解消されれば、排卵機能も整って妊娠の確率が高まることが期待されます。

四物湯(しもつとう)
漢方における不妊治療の前提は、血液の巡りを良くすること。四物湯は、まさに血液を養う働きのある代表的な漢方薬とされます。有名な当帰芍薬散は、この四物湯をベースに作られた薬です。また四物湯は、体を温める作用があることでも有名。冷え性は血行を悪化させ、妊娠の確率を低下させる可能性があるので、四物湯を服用することで常時一定の体温を維持することは、妊娠の成立にも効果的です。他にも貧血の人や生理痛の著しい人にはよく処方される漢方薬です。

調経種玉湯(ちょうけいしゅぎょくとう)
調経種玉湯の「調経」は、漢方の世界では女性の不妊治療のことを指します。つまり調経種玉湯とは、まさに不妊治療を主な目的とした漢方薬ということです。血液の巡りは順調であるにも関わらず、血液の質が悪いとされる人に対して処方される薬です。西洋医学において原因不明とされた不妊に対し、調経種玉湯の服用によって妊娠にいたった女性が多くいるとのこと。漢方の世界においては、いかなる症状であっても原因不明ということはありません。必ず症状に対応する薬が用意されています。

香蘇散(こうそさん)
香蘇散は、よく妊婦への風邪薬として処方されることの多い漢方薬ですが、一方で精神を安定させる効果があることでも知られています。不妊の要因の一つにはストレスがあるとの指摘がありますが、香蘇散を服用することによってストレスが解消して精神が安定。その結果、排卵周期も安定して妊娠率を高める可能性があるとされています。生理周期ごとに訪れるイライラやうつ症状などにも効果的とされています。

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
半夏厚朴湯もまた、精神を安定させる効果のある漢方薬。妊活中の女性は、様々な要素でストレスを抱えがちになります。不妊に関する何らかの調査結果を待つときなど、ストレスや不安はピークに達するでしょう。このストレス、不安が、妊娠の妨げになっていることもあります。不安定な精神に効果のある精神安定剤は多々存在しますが、それらの多くは、妊活中の女性には処方できないもの。そのため病院では、妊活中の女性に対する精神安定剤として半夏厚朴湯を処方することが多いとされます。

四逆解毒湯(しぎゃくげどくとう)
四逆解毒湯は、主にストレスを原因とする不眠症に対して処方される漢方薬。効果的な妊活を営む女性にとって、不眠は大敵です。睡眠時間が少ないことが問題なのは言うまでもありませんが、たとえ適度な睡眠時間を確保していたとしても、睡眠の質が悪ければ体も心も休まりません。睡眠障害によってますますストレスが蓄積されるという悪循環に陥れば、妊娠の確率も徐々に下がっていくでしょう。妊活中に処方される漢方の睡眠薬という位置づけです。

甘草乾姜湯(かんぞうかんきょうとう)
甘草乾姜湯は、全身の血行を良くすることで新陳代謝を促進する漢方薬。血行改善効果によって冷えを改善させる効果、また胸やお腹を特に温める効果があるため、冷えを要因とする生理不順の改善には効果的とされています。体を温めることによって生理周期の乱れを正せば、排卵日の予測もしやすくなります。その結果、タイミング法などを通じた自然妊娠率の向上も期待できます。なお風邪の諸症状を改善する薬としても知られています。

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
桃核承気湯は、血の滞りを改善させる目的で処方される漢方薬です。具体的な効果としては、生理不順、生理に伴う不快感、腹痛、腰痛、頭痛、便秘などに効果があるとされています。生理にまつわる一連を効果を通じて生理周期を正常化することで、妊活のタイミングも的確になり、妊娠率はアップするでしょう。なお桃核承気湯は、「便秘の解消効果が高い」ことで知られています。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
桂枝茯苓丸は、瘀血の改善に効果を発揮する漢方薬。瘀血とは、簡単に言えばドロドロ血のことです。漢方では、血液の質が妊娠確率に大きな影響を与えると考えられていることから、妊娠中の女性にはよく処方される薬でもあります。特に妊活においてホルモン治療を受けてきた人について、漢方では瘀血に満ちている人と判断します。ただし桂枝茯苓丸は、貧血症や虚弱体質の女性には適さない漢方薬とされています。

大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)
大黄牡丹皮湯は、女性ホルモンのバランスを整える目的で処方される漢方薬。生理不順や月経困難症、便秘などの改善のためによく処方されています。ホルモンバランスが正常化して生理周期を整えば、タイミング法などの妊活をスムーズに運ぶこともできるでしょう。なお大黄牡丹皮湯は、ホルモンバランスの調整とは別に、子宮や尿路など下半身の疾患の改善に対しても処方されることがある薬です。

漢方治療の副作用

漢方薬も「薬」ですから副作用が出る場合もあります。
例えば、ご自身の体質に合わない漢方薬を飲んだ場合(=専門的に言うと、「証」が合わない場合)には、胃腸症状などが起きることがあります。蕎麦や牛乳を食べてアレルギーを起こす人がいますが、漢方薬に含まれる成分が原因で、体質によっては同じような症状が起きる場合も考えられます。

また漢方薬を飲んだ場合に、不快な症状が現れたり、困っている症状が一時的に悪化することがありますが、必ずしも副作用という訳ではありません。漢方には「瞑眩」という考え方があり、治癒への過程で起こる必要な体の反応である場合が少なくありません。たとえ不快な症状であっても、瞑眩が起こることは病気が治癒されているという事なので良いことなのです。ただし「瞑眩」なのか「副作用」なのかの判断は、素人には難しいところです。

また瀉下作用(=下痢や子宮収縮作用)がある生薬もあるため、とくに妊娠を希望される方には注意が必要です。 いずれにせよ、経験豊富な漢方医の指導の下で、漢方薬を飲むのであれば大きな心配はないでしょう。インターネットなどで漢方薬を個人輸入して自己判断で飲むことはお勧めできません。

漢方治療のちびQ&A

どれくらい服用すれば、妊娠しますか?
個人差があります。漢方薬は体質を改善していく治療のため、時間がかかります。もちろん個人差や年齢もありますが、半年~1年以上は根気強く飲み続けることが大切です。

通院はどれぐらいするものですか?
漢方医の考え方で、まちまちです。また、漢方薬での不妊治療の場合は、月経周期に合わせて飲む漢方を変えたりするため、頻繁に通院する場合も少なくないようです。症状にもよりますが、漢方薬が体質に合っていると体が変化しますから、同じ漢方薬を飲み続けることは少ないようです。

男性不妊の漢方薬もありますか?
男性不妊の原因の多くは、精巣機能の低下にあります。東洋医学では「腎虚」と呼ばれ、精力減退、生殖器官の低下に効果がある漢方薬を処方して、男性不妊を治療していきます。

妊娠率はどれくらいですか?
体の状態や年齢など個人差が大きく、統計データはありませんが、冷え性や血行不良、疲労感などの改善の声を聞きます。

体外受精など他の治療と併用しても大丈夫ですか?
漢方薬は病院で西洋薬と合わせて処方されることも多く、とくに不妊治療では漢方薬を併用するケースが非常に多いです。経験豊富な漢方医のもとで漢方薬を飲む限りでは、不妊治療の妨げにはならないと考えて良いでしょう。