Q2. 卵子(卵胞)の数が少ないと体外受精での妊娠率は下がる?

Q.注射で排卵誘発をしても卵子(卵胞)の数が少ない状態です。卵子が少ないと、体外受精での妊娠率は下がるのでしょうか?

「注射による排卵誘発を行なっているのですが、いつも採卵できる卵子(卵胞)の数が1~2個と少な目です。内服薬に変更したら卵子の数が増えるということはあるのでしょうか?

また、これまで何度か人工授精にチャレンジしてきたのですが、なかなか妊娠できないので体外受精も検討中です。卵子の数が少ないと体外受精でも妊娠しにくいのでしょうか?」

A.卵胞の数が少なくても体外受精は可能。ただし卵子が多い人と比べると妊娠効率は下がります

卵子が1個でもあれば体外受精は可能です

卵子が1個でも採取できれば、体外受精を行なうことは可能です。

自然周期での採卵で体外受精をする場合など、卵胞が1~2個しか取れない例は決して珍しくありません。ただし、たとえ受精したとしても胚が育つかどうかは、また別の問題になります。

その点において、卵子が少ない人に比べると卵子が多い人のほうが胚の数が増える可能性が高くなる、すなわち最終的に妊娠効率は上がることになります。

卵子の数の在庫(卵巣予備能)の目安となる抗ミュラー管ホルモン(AMH)検査を受けて数値が低ければ、体内に残っている卵子の数に限りがあるということになり、妊娠可能な期間が短くなるということは言えます。なお注射から内服薬に変更しても、卵胞の数が増えることは期待できません。

参照元:桜十字ウィメンズクリニック公式サイトスタッフブログ「AMH(アンチミューラリアホルモン)とは?AMH値の正常値は?」

https://www.sj-shibuya-bc.jp/staff-blog/?p=2213

参照元:グレイスバンク公式サイト「卵子の数が少ないと妊娠できない?卵子の数が少ない3つの原因と影響」

https://gracebank.jp/egg-freezing-few/

妊娠の可能性で重要なのは卵子の数より卵子の質

卵子の数がどれくらいあるかというのは重要な指標ではありますが、妊娠の確立という点では、卵子の数より質がもっとも重要です。

受精に適しているのは成熟した卵子のみなのですが、採卵した卵子の5~15%程度は未熟卵子という受精の対象にならない卵子であることがわかっています。卵子の質が高いというのは、この成熟卵子を育てる能力が高いということになります。

仮にひとつしか卵子が取れなかったとして、その卵子が成熟卵子であればいいのですが、そうでない場合は受精はできません。卵子の質は加齢とともに下がっていきますが、そのほかにも遺伝性のものや病気が原因となる場合もあるため、不妊治療を開始する前の検査で考えうるリスクを認識しておくことも重要です。

参照元:一般社団法人日本受精着床学会「Q10. 卵子の質、胚の質とはどういう意味ですか?」

http://www.jsfi.jp/citizen/art-qa10.html

人工授精で結果が出ない→体外受精への移行が一般的

タイミング法、ホルモン療法、人工授精までは「一般不妊治療」に分類される治療法ですが、体外受精にステップアップすると、「高度生殖医療(ART)」に分類されます。

人工授精を3回〜5回程度行っても妊娠しない場合には、体外受精を検討するという流れが多いようです。ただし、年齢的に妊娠を急ぎたい、確実に妊娠したいという場合はその限りではありません。

質問者さんは人工授精が何度目かは書いてありませんが、年齢が35歳以上であったり、40歳に近いのであれば、すぐに体外受精に移行すべきタイミングであると言えます。通院しているクリニックで体外受精を行なっていない場合は、自宅から通いやすいクリニックに転院する必要があります。

参照元:グローバル株式会社 Cryosend公式サイト「体外受精へのステップアップ、転院を考えるタイミングとは?」

https://cryosend.com/column/2022/71/

体外受精の成功率はクリニックによって異なる

体外受精での受精率は70~80%というのが一般的な確率です。

数字的には10個の卵子に体外受精を行なえば、平均して7~8個の卵子に受精が起こることになります。ただし、卵子がひとつしか取れない、卵子の質が低いといったケースでは、この確率はあてはまりません。また体外受精の成功率に関しては、クリニックごとに成績が異なります。

体外受精や顕微授精の成績がクリニックの公式サイトで公表されている場合もあります。たとえば東京・江東区にある木場公園クリニックの場合、1回の胚移植(体外受精)当たりの臨床妊娠率(胎児の心拍が確認できた率)は、「30歳未満では50.8%、30歳以上35歳未満では45.0%、35歳以上40歳未満では32.0%、40歳以上では11.1%」であったという成績が公開されています。

このように紹介すると成績のいいクリニックを探したくなるかもしれませんが、体外受精の場合は数日おきの通院が必要になりますし、体調の変化などで急遽診察を受けなければならないこともあるので、通院しやすいかどうかも重要な判断基準になります。

参照元:医療法人社団 生新会 木場公園クリニック公式サイト「体外受精の成功率|妊娠しやすい状態へ導く6つのポイントとは?」

https://kiba-park.jp/column/c08-0709/