不妊治療や不妊に関する疑問、お悩みをリサーチして、その回答をまとめてみました。
不妊治療を検討している段階でまず真っ先にみなさんが行なうのは、ネットで検索することではないでしょうか。ただ疑問についてネットで調べれば調べるほど、わからなくなってしまうことも少なくありません。そこで本記事では「よくある質問」などに投稿されているみなさんの疑問や不安をピックアップ、専門家の見解なども参照しながら解説していきます。
Q.毎月、排卵日を狙って性交渉をしているのですが、なかなか妊娠できません。やはり不妊症を疑うべきでしょうか?
- 夫婦ともに「そろそろ子どもが欲しい」ということになり、基礎体温をつけながら排卵日を狙って夫婦生活をしています。ところが何度性交渉を行なっても、妊娠には至りません。排卵日に合わせて自分の仕事の都合をつけたり、主人も周期に合わせて頑張っているのですが、いつも生理が来るたびに二人で落胆しています。やはり不妊症を疑うべきでしょうか?
妊娠しやすいのは排卵日だけではないので継続的な性交渉を
- 最も妊娠しやすいのは、排卵日の2日前
- まず「排卵日を狙って」とありますが、妊娠しやすい日は排卵日当日だけではありません。1か月単位で言えば、妊娠可能な期間は排卵日の6日前から排卵日の1日後と言われていますが、じつは排卵日の2日前が最も妊娠の確立が高く、次いで排卵日の前日であることが論文などでも発表されているといいます(※参照元)。この期間、36~48時間ごとに性交することによって、妊娠の確率が高まるということです。排卵日だけを狙うのではなく、3日に一度など定期的な性交渉を継続的に持つことが自然妊娠の確立を上げることにつながります。定期的かつ継続的な性交渉をしたうえで、一定期間状態にあることを不妊と言いますが、その期間は1年間程度とされています。完全な不妊症と診断するのは2年程度見る必要があるといしている情報もありますが、排卵日前後の1週間に性交渉を行なってもがあるのに妊娠しない、という場合は不妊を疑うべきでしょう
- 精子の質が心配なら念のため精液検査を
- 不妊の原因はなにも母体だけが原因とは限りません。最近では男性の不妊を専門とするクリニックがあることでもわかるように、男性の精子の質などが原因で不妊となる場合もあります。また俗説として「夫婦生活の頻度を増やすと精液が薄くなって妊娠率が下がる」と聞いたことがある人もいると思いますが、まったくの誤解なので気にしないようにしましょう。頻度が増えれば精液が多少薄くなる傾向はありますが、だからと言って妊娠しにくくなるという事実はありません。妊娠できる精子の条件は、受精する力のある新鮮な精子があるかどうか、です。濃度が薄くても、そのような精子が存在すれば妊娠します。逆に濃度が濃くても、そのような精子が存在しなけば妊娠しにくくなります。精液検査は男性の理解と協力がないと成立しませんので、まずはおふたりで話し合ってみて、納得したうえで精液検査を受けてみてください。
- 世界の水準と比較すると、日本人は性交渉の頻度が低い
- 夫婦生活の頻度が妊娠率を左右すると説明しましたが、実は、日本は世界でもまれにみるほどの「性交渉が少ない国」と言われています。男性向け避妊具の大手メーカーDurex社が調査したところによれば、日本人のセックス頻度は年45回と世界最低(同社が調査した世界41カ国のうち)で、世界平均103回と比較するまでもなく少ないという統計データが出ています。一説には限られた部屋数や子供と添い寝する住宅環境の影響が大きいとも言われています。
参照元:社会実情データ図録「世界各国のセックス頻度と性生活満足度」(https://honkawa2.sakura.ne.jp/2318.html)
- セックスレス夫婦が全体の50%以上に増加
- 日本家族計画協会による「男女の生活と意識に関する調査」では、ここ数年で婚姻関係にあるカップルのセックスレス化が右肩上がりに増加しているという統計データも示されています。2004年には31.9%の夫婦がセックスレスと回答したのに対し、2020年では51.9%もの夫婦がセックスレスであることがわかっています。もちろん不妊治療中の夫婦はこの数字には含まれないはずですが、そもそも夫婦間での営みの頻度に関する意識の傾向としては、積極的に機会を設けようとする夫婦のほうが少ない、ということは言えると思います。
- 妊娠はパートナーとの幸せな性生活の先にあるもの
- 妊娠とは本来、パートナーとの幸せな性生活の先にあるものです。妊娠するために義務として性生活を営むというのは、順番が逆です。もちろん現実として妊娠のための性生活を送る必要があることもありますが、それ以前に、パートナー同士の相互理解に基づいたストレスフリーな性生活が送れて、そのことに義務感ではなく幸福感を感じるかどうかが重要なのではないかと考えます。