男も不妊とは無縁ではない 不妊の原因の半分は「男性不妊」

あまり知られていない男性の不妊症の原因に迫ります

不妊症というと女性をイメージしてしまいますが、実際には男性側に何らかの問題がある場合が少なくありません。男性不妊の約90%を占めるのが、精子をつくる働きに問題がある「造精機能障害」ですが、そのうちの約7割は原因が未だに分かっていません。このページでは、男性不妊の原因について、詳しく説明していきます。

男性の不妊とは?

不妊症のおよそ半分は、男性に問題があり!?

WHO(世界保健機関)の発表によると、不妊症全体のうち24%は男性のみに原因があるケース、24%は男女両方に原因があるケースで、男性に何らかの原因がある不妊は全体の半数近くを占めています。言うまでもなく受精には精子が不可欠ですから、まずは夫婦がそろって検査を受けることが大切です。

男性の造精機能障害

男性不妊も、多くは機能に問題があり

妊娠に不可欠な受精を成立させるためには、精子が卵管まで泳いでいく運動能力と、卵子の中に侵入するための受精能力が不可欠です。そのためには精液量、精子濃度、精子運動率、精子形態などが一定に達している必要があり、まずは「一般精液検査」で精子の状態を調べます。
精液検査を行って精子の状態が一定の基準に満たなければ、「男性不妊」と診断されます。
男性不妊が起こる原因は、おもに①造精機能障害、②精路機能障害、③性機能障害の3つに分けられます。

デンマークのスカベック博士の研究によると、人類の精子は1940年と比べて1ccあたり約12,000万個から6000万個に激減していると報告しています。また帝京大学医学部の調査では、日本人男性(体育系大学生)34人中、WHO基準の精液検査の基準をクリアしたのは一人であったとの報告もあり、日本でも原因不明の造精機能障害の増加が懸念されています。その原因として、食生活の悪化や環境ホルモン、電磁場の影響などが指摘されています。

造精機能障害

精子をつくる機能に問題がある場合を「造精機能障害」といい、男性不妊の90%を占めます。そして、造精機能障害のおよそ7割は原因が分かっていません。このような原因の分からない造精機能障害を、「原発性造精機能障害」と呼びます。女性不妊だけでなく男性不妊も、原因が分からない機能性不妊が多いのです。 染色体異常、内分泌疾患、精索静脈瘤などが原因の場合が多いです。まれに、耳下腺炎(いわゆるおたふくかぜ)による精巣炎や、胎児のころは腹腔内にある精巣が生後数か月たっても陰嚢の中におりてこない停留精巣が原因となる場合もあります。

精路通過障害

精子の通り道である精管に問題がある場合を、「精路通過障害」といいます。精巣で精子がつくられても、精子の輸送路(精路)が塞がっていたり狭くなっていると、精子が精液中に出てくることができません。
主な原因は、「精巣上体炎」や「精管炎」などの精路の炎症や、精液が膀胱へ射精される「逆行性射精」などがあります。
精液検査で無精子症と診断されても、上記のような精路通過障害による閉塞性無精子症であれば、手術によって原因を排除できることがあります。

性機能障害

精巣で精子が十分に作ることができて、精子の輸送路にも問題がなくても、勃起や射精といった性機能に問題があって、通常の性交ができない場合を「性機能障害」といいます。性機能障害には、勃起障害、射精障害などがあります。

・勃起障害(ED)
勃起できない、または勃起した状態を維持できないため、性交が難しい場合を「勃起障害」といいます。成人男性の4人に1人が悩んでいるとも言われ、最近では若い男性にも広がっている深刻な問題となっています。勃起障害を引き起こすのは、身体的な原因と心理的な原因、そしてその両方が原因する場合も少なくありません。
主な身体的な原因として、糖尿病や手術による神経損傷などやホルモンのトラブルが考えられます。心理的な原因としては、ストレスなど心因性のトラブルがあります。

・射精障害
勃起はできても射精できない場合を「射精障害」といいます。
マスターベーションでは射精が可能でも女性の膣内では射精ができない「膣内射精不全」が最も多く、マスターベーションの刺激が強すぎることなどが原因です。
また、内尿道口の閉鎖不全により、射精時に膀胱側に射精してしまう「逆行性射精」も射精障害のひとつです。

精液検査の基準

以下は、WHO(世界保健機関)による基準です。是非、参考にしてください。

精液量 1.5ml以上
pH値 7.2以上
精子濃度 1ml中に1,500万個以上
総精子数 3,900万個以上
精子運動率 32%以上
精子正常形態率 15%以上
精子生存率 58%以上
白血球数 1ml中に100万個以下

無精子症

造精機能障害

精液中に精子が全く存在しない

精液の中に精子が全く認められない場合を「無精子症」といって、男性不妊のおよそ1%を占めます。 無精子症は、原因を詳しく調べることで「閉塞性無精子症」と「非閉塞性無精子症」の2つに分類できます。精巣で精子は作られていても、精子の通り道に問題があって精液中に精子が認められない場合。そして、精子そのものが作られていない場合です。閉塞性無精子症の場合は、精路を開通させるか、体外受精で妊娠は可能です。

自覚症状 なし
分かる検査 精液検査
触診
ホルモン検査
治療方法 (精巣精子回収術による)顕微授精
非配偶者間人工授精(AID)
薬物療法(栄養療法や漢方治療などの代替医療を含む)

乏精子症

造精機能障害

精液中の精子が極端に少ない症状

精液中に精子が存在するものの、その数が少ない場合を「乏精子症」と言います。1mlあたりの精子数が2000万個未満を乏精子症と診断されます。
軽度の場合はタイミング法や人工授精、300万個以下だと体外受精、100万個以下だと顕微授精とレベルによって治療内容が変わります。

自覚症状 なし
分かる検査 精液検査
血液検査
治療方法 薬物療法(栄養療法や漢方治療などの代替医療を含む)
人工授精
体外受精(顕微授精)

精子無力症

造精機能障害

精子の数は正常でも運動率が悪い状態

精子の運動能力の程度によって、A)高速で直進する精子、B)ゆっくり前進する精子、C)動いても前進しない精子、D)動かない精子、の4つに分けられます。AとBが占める割合が全体の50%に満たない場合、またはAが25%に満たない場合を「精子無力症」とされます。
軽度の場合は薬物療法、中程度の場合は人工授精、重度の場合では体外受精や顕微授精が必要になります。

自覚症状 なし
分かる検査 精液検査
治療方法 人工授精
体外受精(顕微授精)
薬物療法(栄養療法や漢方治療などの代替医療を含む)

精子奇形症

造精機能障害

受精能力の低い奇形精子の
割合が多い状態

奇形の精子は健康な男性の精液にも含まれますが、その割合が高い場合には不妊の原因となり「精子奇形症」と診断されます。奇形率の程度によって、治療内容が変わります。

自覚症状 なし
分かる検査 精液検査
治療方法 外科手術
人工授精
体外受精(顕微授精)
薬物療法(栄養療法や漢方治療などの代替医療を含む)

精液減少症

造精機能障害

精液量が少ない状態

1回の射精での精液量が2ml未満を、「精液減少症」といいます。膣の中は酸性のため、弱アルカリ性の精液が十分にないと中和ができず精子の運動能力が低下してしまいます。精子にとっては最難関の子宮頚管への侵入ができなくなります。また、精液が射出しない場合は、「無精液症」といいます。
精索静脈瘤が原因の場合は、外科手術で改善します。

自覚症状 なし
分かる検査 精液検査
治療方法 外科手術
人工授精
体外受精(顕微授精)
薬物療法(栄養療法や漢方治療などの代替医療を含む)

男性不妊を治療している病院

「不妊症かもしれないけど、どうしたらいいか分からない」「自分が不妊症かも分からない」「夫が不妊症かもしれない」など、少しでも不安を抱えている方は、一度不妊治療の専門医に相談してみましょう。男性不妊を治療しているクリニックを紹介します。

新橋夢クリニック
徹底した成果主義で妊娠率を最大限に高める

不妊治療専門クリニックとして2007年に開業。結果を重視した治療方針で男性不妊治療にも力を注いでいます。体外受精では、成功報酬制度を用いているため、金銭的な不安も軽減され、安心して治療に取り組めます。